みなさんは炭素繊維(カーボンファイバー)という素材を聞いたことがあるでしょうか。
服について詳しい方は知っているかと思います。


今回は炭素繊維の特徴について紹介していきます。

炭素繊維

炭素繊維(カーボンファイバー)とは?

炭素繊維は、その名前の通り、炭素(元素記号C)から作られる繊維のことです。
英語の名称は、「Carbon fiber」(カーボンファイバー)です。
炭素原子の含有率が90%以上となっているものを、炭素繊維と呼んでいます。

原料

原料となるものは、アクリル、コールタール、石油などです。
これらの原料を高温で炭化させることで、繊維を製造していくのです。

種類

種類としては、「PAN系CF」、「ピッチ系CF」などがあります。


PAN系CFは、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料としているのです。
200~300℃の高温で熱処理した後、さらに無酸素状態にて高温で焼くことで、PAN系CFが作られています。
太さは、5-7µmほどです。
ピッチ系CFは、石油、コールタールの副生成物を原料としています。
用いる原料によって、「等方性ピッチ系」と「メソフェーズピッチ系」などに分類されます。
太さは、7-10µmほどです。

開発の歴史について

工業生産が行われるようになったのは、1959年頃です。
アメリカ企業のナショナル・カーボン社が、レーヨンから開発したのが世界初の工業生産化だと言われています。

世界市場シェアトップを誇る日本企業

日本でも、古くから研究が行われてきました。
1961年には、通商産業省工業技術院大阪工業試験所の進藤昭男さんがPAN系CFを発明しています。


また、1963年には、群馬大学の大谷杉郎さんがピッチ系CFを発明しているのです。
東レ株式会社、三菱ケミカル株式会社、帝人株式会社などの日本企業も、長い間研究開発に取り組んできました。

そして、現在では、日本企業が世界市場の5割以上を占めることになったのです。
東レ株式会社だけでも、世界シェアの3割を占めています。


日本は、この分野においては、トップクラスの生産量とクオリティを誇っているのです。

特徴その1:軽量で強い

「軽量」で「強い」のが特徴です。
鉄やアルミやガラス繊維よりも、比重が軽いにもかかわらず、強度や比剛性にも優れているのです。
また、疲労強度の保持率が非常に高いという特徴もあります。
そのような特性を持っていることから、飛行機の胴体や主翼などの材料としても活用されています。
小惑星探査機の「はやぶさ」にも、この素材が使われていました。

特徴その2:X線透過率が高い

X線透過率が高いという特徴もあります。
鮮明な画像を得られることから、X線、CT、レントゲン機器、手術用器具などの医療機器にも用いられています。

特徴その3:錆びない

錆に強いことも特徴です。
ほとんど炭素原子だけで構成されているため、空気や水分に触れても、錆びつくことがありません。
さらに、耐薬品性も高いというもあるのです。

炭素繊維(カーボンファイバー)のデメリット

炭素繊維はメリットが多い優れた素材ですが、以下のようなデメリットもあります。
・製造コストや加工コストが高くなりやすい
・加工が非常に難しい
・リサイクルしにくい

作業服にも使われている

炭素繊維は、航空や医療や宇宙などの分野だけでなく、作業服などにも使われています。
電気をよく通す特性があるため、この素材を作業服へ取り入れることで、電気を流れやすくしてくれるのです。
ガソリンなど引火しやすいものを取り扱う現場で着用しておけば、安全に作業できることでしょう。

備長炭繊維について

炭素繊維と似たような名称のものとしては、備長炭繊維があります。
これは、備長炭の成分を練りこんだ糸によって作られているのが特徴です。
炭素繊維のように、軽量で強い、X線透過率、錆びないなど特性はありませんが、以下のような利点があります。

①消臭効果が高い

備長炭には、脱臭効果があると言われています。
表面にミクロの穴が開いており、その穴が悪臭成分を吸収してくれるのです。

②マイナスイオンを発生する

備長炭は、マイナスイオンを発生すると言われています。
そのため、服やハンカチなどとして身に着けていることで、癒し効果やリラックス効果も得られます。

③保温性が高い

備長炭の黒い色には、熱を吸収しやすいという性質があります。
そのため、熱を逃がすことなく、高い保温性を得ることができるのです。

炭素繊維の未来に期待

炭素繊維の進化に期待

今回は、炭素繊維についてご紹介しました。
大きく分けると、ポリアクリロニトリルを原料とする「PAN系CF」、石油やコールタール「ピッチ系CF」の2種類があります。


近年では、綿やセルロースなどといった植物系の材料を使ったものも製造されるようになってきました。
軽量で強いという特徴があることから医療や宇宙などいろいろな分野で利用されています。


ただ、製造コストが高くなることや加工やリサイクルが難しいのがデメリットです。
日本はこの分野では、世界のトップに立っています。

今後も新しい技術を取り入れた開発を行うことで、デメリットをクリアした製品が登場してくるのではないでしょうか?


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