最近のファッションは、ファッション性だけでなく、機能性も重視されています。オフィスカジュアルだったり、リモートワークが進む今、より機能的で洗練された服が人気です。特に、撥水だったり、速乾などの機能性に優れた高機能繊維を使ったファッションが注目されています。

みなさんは炭素繊維(カーボンファイバー)という素材を聞いたことがあるでしょうか。炭素繊維は軽くて非常に強い繊維ですが、実はこの炭素繊維、洋服にも使われています。今回は高機能繊維の中でも、炭素繊維の服の特徴について紹介していきます。

炭素繊維

炭素繊維の服の特徴

炭素繊維は、その名前の通り、炭素(元素記号C)から作られる繊維のことです。英語の名称は、「Carbon fiber」(カーボンファイバー)です。炭素原子の含有率が90%以上となっているものを、炭素繊維と呼んでいます。

軽量で丈夫

炭素繊維の服は「軽量」で「強い」のが特徴です。鉄やアルミやガラス繊維よりも、比重が軽いにもかかわらず、強度や比剛性にも優れているのです。洋服はよくこすれることで摩耗してしまいますが、炭素繊維の服は摩耗しずらいです。

また、疲労強度の保持率が非常に高いという特徴もあります。そのような特性を持っていることから、炭素繊維は、飛行機の胴体や主翼などの材料としても活用されています。小惑星探査機の「はやぶさ」にも、この素材が使われていました。

作業服にも使われている

炭素繊維は、航空や医療や宇宙などの分野だけでなく、作業服などにも使われています。
電気をよく通す特性があるため、この素材を作業服へ取り入れることで、電気を流れやすくしてくれるのです。
ガソリンなど引火しやすいものを取り扱う現場で着用しておけば、安全に作業できることでしょう。

炭素繊維(カーボンファイバー)のデメリット

炭素繊維はメリットが多い優れた素材ですが、以下のようなデメリットもあります。
・製造コストや加工コストが高くなりやすい
・加工が非常に難しい
・リサイクルしにくい

備長炭繊維について

炭素繊維と似たような名称のものとしては、備長炭繊維があります。
これは、備長炭の成分を練りこんだ糸によって作られているのが特徴です。
炭素繊維のように、軽量で強い、X線透過率、錆びないなど特性はありませんが、以下のような利点があります。

①消臭効果が高い

備長炭には、脱臭効果があると言われています。
表面にミクロの穴が開いており、その穴が悪臭成分を吸収してくれるのです。

②マイナスイオンを発生する

備長炭は、マイナスイオンを発生すると言われています。
そのため、服やハンカチなどとして身に着けていることで、癒し効果やリラックス効果も得られます。

③保温性が高い

備長炭の黒い色には、熱を吸収しやすいという性質があります。
そのため、熱を逃がすことなく、高い保温性を得ることができるのです。

[sc_blogcard url=”/material/”]

炭素繊維の始まり

炭素繊維の未来に期待

炭素繊維の工業生産が行われるようになったのは、1959年頃です。
アメリカ企業のナショナル・カーボン社が、レーヨンから開発したのが世界初の工業生産化だと言われています。

原料

原料となるものは、アクリル、コールタール、石油などです。
これらの原料を高温で炭化させることで、繊維を製造していくのです。

種類

種類としては、「PAN系CF」、「ピッチ系CF」などがあります。


PAN系CFは、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料としているのです。
200~300℃の高温で熱処理した後、さらに無酸素状態にて高温で焼くことで、PAN系CFが作られています。
太さは、5-7µmほどです。
ピッチ系CFは、石油、コールタールの副生成物を原料としています。
用いる原料によって、「等方性ピッチ系」と「メソフェーズピッチ系」などに分類されます。
太さは、7-10µmほどです。

また、工業用の炭素繊維は様々な特徴があります。

X線透過率が高い

X線透過率が高いという特徴もあります。
鮮明な画像を得られることから、X線、CT、レントゲン機器、手術用器具などの医療機器にも用いられています。

錆びない

錆に強いことも特徴です。ほとんど炭素原子だけで構成されているため、空気や水分に触れても、錆びつくことがありません。
さらに、耐薬品性も高いというもあるのです。

世界市場シェアトップを誇る日本企業

日本でも、古くから研究が行われてきました。1961年には、通商産業省工業技術院大阪工業試験所の進藤昭男さんがPAN系CFを発明しています。


また、1963年には、群馬大学の大谷杉郎さんがピッチ系CFを発明しているのです。
東レ株式会社、三菱ケミカル株式会社、帝人株式会社などの日本企業も、長い間研究開発に取り組んできました。

そして、現在では、日本企業が世界市場の5割以上を占めることになったのです。
東レ株式会社だけでも、世界シェアの3割を占めています。


日本は、この分野においては、トップクラスの生産量とクオリティを誇っているのです。

炭素繊維を使ったおすすめの服

炭素繊維を使った服を着てみたい、そんな方にお勧めの製品を紹介します。丈夫で軽い炭素繊維はアウトドアなどにも最適です。タフな毎日を送っているという方は、1着でもいいので手元に用意しておくことをおすすめします。

Vollebak

Vollebak

Vollebakは、120mを超える炭素繊維を使ったTシャツを発表しています。軽量で通気性に優れ、また弾力性があり、摩擦にも強い。機能性に優れ、ハードな毎日を共に過ごすのにぴったりな製品です。落ち着いたグレーの色合いは、普段使いにも十分入り込める落ち着きがあります。

Vollebakのサイトで製品を購入する

Sumigi

Sumigiの素材には世界生産量5パーセントの、非常に貴重なコットンを特殊な方法で炭素化させた繊維を使用しています。服に炭の繊維を使うことで、炭の持つ遠赤外線効果、保湿効果、調湿効果などを感じることができます。

夏は汗をよく吸収し、常にサラリとした肌触りを保ち続け、冬は遠赤外線効果で血行がよくなる効果を期待できます。暑い夏は涼しく、寒い冬は暖かい服なら、1年中活躍の場があります。

Sumigiの製品をサイトで購入する

炭素繊維の進化に期待

今回は、炭素繊維についてご紹介しました。
大きく分けると、ポリアクリロニトリルを原料とする「PAN系CF」、石油やコールタール「ピッチ系CF」の2種類があります。


近年では、綿やセルロースなどといった植物系の材料を使ったものも製造されるようになってきました。
軽量で強いという特徴があることから医療や宇宙などいろいろな分野で利用されています。


ただ、製造コストが高くなることや加工やリサイクルが難しいのがデメリットです。
日本はこの分野では、世界のトップに立っています。

今後も新しい技術を取り入れた開発を行うことで、デメリットをクリアした製品が登場してくるのではないでしょうか?

[sc_blogcard url=”/about/”]

Recommended Posts