「スタイリング」と「コーディネート」、この2つの言葉の意味についてはあいまいな部分があり、日本の服飾・美容業界において様々な解釈があります。各自の考え方による部分があるため、どれが完全な正解とは言えない部分がありますが、アパレル業界で長い経験がある筆者が独自視点で解説・分析していきたいと思います。

「スタイリング」と「コーディネート」の違い

基本的に「スタイリング」は他人によるもので「コーディネート」は自分で行うもの

「スタイリング(Styling)」、「コーディネート(Cordinate)」とは両方とも外来語であり、意味合いはそれぞれの国・地域によって違いがあると言われます。例えば、スタイリングは”スタイリスト(Stylist)”という職業と密接な関係がある語句ですが、日本ではスタイリストと言うと、タレントや歌手・女優の衣装のプロデューサー的な立場の人を指します。そして、スタイリストは様々なブランドのプレスルームとコンタクトをとり、衣装のリースを依頼する事などを仕事にしますが、基本的に自分では服のデザインをしません。また、スタイリストが服装だけでなく依頼者の髪型や化粧などを総合的にスタイリング(プロデュース)する場合もあります。

それに対して、フランス語でStylistを意味する”styliste(スティリスト)”は完全にプレタポルテ分野で活動するファッションデザイナーの事を指します。ジバンシィ創業者がO・ヘップバーンの衣装をプロデュースしていた例などはあるものの、基本的にスティリストはデザイン専業者で日本におけるスタイリスト的な活動は行いません。

色々とあいまいな部分があるものの、日本における共通認識として「スタイリング」は”他人のプロデュース”との関連が深い語句と言えます。それに対して、「コーディネート」は”セルフプロデュース”との関連が深い語句です。具体的に言うと、日本でスタイリングとは着用者のイメージや体型・髪型・着用する場面に合わせて、他者が着用者の服装をプロデュースする行為の事を指します。一方、コーディネートは着用者が自宅のワードローブの中から、自分のアイデアでその日に着用する服を自分で選ぶ行為という認識をもたれています。

自分で服を選ぶ事・他人に選んでもらう事のメリット・デメリット

自分が着ていく事を他人にプロデュースしてもらう事、自分でプロデュースする事には、それぞれメリット・デメリットがあります。まず、プロや優れたファッションセンスをもつ人に自身の衣装をプロデュースしてもらえる環境にあれば、他人から見て最大限に魅力的な服装で日々を過ごせます。それによって仕事に好影響があったり、魅力的な恋人をゲットする事につながる事もあるでしょう。ただし、誰かに自身の服装や髪型などをスタイリングしてもらう事を決めてプロのパーソナルスタイリストを雇うとなるとかなりのお金がかかります。また、おしゃれで他人をプロデュースするのが得意な友人・知人に服装などのスタイリングをお願いするとしても、頻度によっては無償での依頼はしにくいものです。そのため、ご飯を奢ったり少額の報酬を支払ったり、少なからずコストがかかってしまう事はデメリットと言えます。

それに対して、日常の服選び・大切な日の服選びを完全に自分で決めてコ―ディネートするのであれば、お金はかかりません。ただし、センスのない人がコーディネートに苦戦・格闘していると余計な時間をとられてしまいます。また、ファッションセンスがないのに無理して自分でコーディネートする事にこだわると、大切な日に服装が原因で何らかの失敗をしてしまう恐れもあります。心配な人は大切な日の服装のみ、他人に自身の服装を他人目線で完璧にスタイリングしてもらうのも良いでしょう。

ファッション誌の着回し企画やコーディネート投稿サービスに注目

自分で服を選ぶ事・他人に選んでもらう事のメリット・デメリット

2020年代に入ってから世界中でアパレル商品の大量廃棄が大きな問題になってきており、一人一人が一度買った服を長く着続ける姿勢が求められています。また、2020年に新型コロナ問題が発生して断続的に経済が不安定な状況が続く中、節約のためにも新しい服をやたらと買わずに既存の服を上手に着回す事も大事と言えます。ただし、ファッションセンスに自信がない人が、「あの人、同じ服ばかり着ている!」と気づかれずにうまく毎日のコーディネートを完成させるのは簡単ではありません。

そんな時に是非参考にしてもらいたいのが、いまや日本の女性ファッション誌の定番企画となっている「着回しテクニック」の特集です。これらの特集ページでは10点から15点のアイテムを使い、半月もしくは1か月という期間の中での、絶妙なアイテムの組み合わせを紹介しています。1990年代前半のバブル崩壊以降、日本の経済に勢いがなくなった中で各女性ファッション誌は、日本の女性達を救うために着回し企画に力を入れてきました。各誌において着回し企画が好評を博す中で競争か激しくなり、その中で各編集部スタッフのスタイリング能力もどんどん向上していきました。つまり、日本の女性ファッション誌の着回し企画のアイデアは相当レベルが高いため、少ない服を上手に着回したい場合は自身の年齢に向けた雑誌を買って参考にすると良いでしょう。その他、ZOZO社が展開するコーディネート投稿サービス「WEAR」にて、好みのブランドが被るおしゃれユーザーを探しだし、その人のコーディネートを参考にするのもアリです。

誰でも着回し上手な人になれる時代

他人に毎日の服装をスタイリングしてもらうというのは一般職の人々にとって現実的な事ではありません。地球環境に優しく・お財布にも易しい生き方が求められる中、自分で着る服は頑張って自分でうまくコーディネートする事が望ましいと言えます。しかし従来の雑誌に加えてWEBサービスを上手に活用すれば誰でも着回し上手な人になれる時代になってきていますので、心配はいりません。


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