これまでの社会においては大量生産と大量消費が当たり前でした。しかしながら、これからは立ち行かないのでエシカル消費に切り替えていこうという流れができつつあります。
もっとも、一見良いように見えるエシカル消費といえど問題点はあります。今回は、あえてエシカル消費の悪い面について考えていきましょう。
エシカルとは英語で倫理的という意味の言葉です。倫理的に消費するとは、地球環境に配慮したり、フェアトレードにもとづいた商品を購入したりする行為を指します。
これまでの社会では、お世辞にも倫理的に商品が販売されているとは言えませんでした。地球環境のことを無視して製品を作ったり、労働者を良くない環境で働かせていたり、といった商品がまかり通っていたのです。
そうした流れを見直して、より倫理的に配慮された商品を買おうという行動こそがエシカル消費と呼ばれます。
倫理的と呼ばれる商品はどうしても高価になりがちです。
たとえば、フェアトレードに則って販売していると謳っている商品の例を考えてみましょう。
まず、どこの国も賃金が一定とは限りません。たとえば、日本の平均時給は900円程度です。
それに対して、その半分にも満たない時給で労働者が働いている国も多く存在します。日本の企業はそこに目をつけて、外国に工場を作り、安い労働力を使うことで商品を安く販売できるように工夫してきました。一見すると消費者にとってはありがたい話ですが、労働者にとっては必ずしも良い話とは限りません。
フェアトレードとはそれを是正するために、販売している国と製造している国の労働条件を一定にし、労働力を搾取しないようにする取り組みのことを指します。もっとも、フェアトレードに則った商品は確かに倫理的ですが、一方でどうしても値段が高くなってしまいがちです。
普通なら100円程度で売っている商品が、フェアトレードになると2倍3倍の値段で販売せざるを得ないというケースも珍しくありません。これは、消費者にとっては間違いなく負担にならざるを得ないでしょう。
基本的に商品は値段が高ければ高くなるほど品質が良くなります。
とはいえ、エシカル消費に限ってはそうとは言い切れません。先ほども述べたように、エシカル消費の精神に則った商品はどうしても高くなりがちなのですが、だからといってそれに比例して品質が良くなるというわけでもないのです。
たとえば、大豆ミートなどはエシカル消費の一例です。豚や牛といった動物を殺して作られる食肉は良くないから、大豆を加工して作った肉を食べようというのは確かに倫理的と言えるでしょう。とはいえ、だからといって大豆ミートが豚や牛よりもおいしいとは限りません。中には大豆ミートのほうが好きだという人もいるでしょうが、本物の肉に比べて味が劣るのは否めません。
倫理的な商品だからといって品質が良くなければ定着するのは難しいでしょう。
ここまで2つのエシカル消費の問題点を見てきました。このような状況がある中で、常に倫理的な買い物を心がけようとするのは難しいでしょう。
普通の商品に比べて数倍の値段がする商品を買い続けるのは現実的ではありません。これは倫理的だから、という理由で商品を選ぶのはもちろん良いことです。もっとも、だからといって自分の懐を痛めてまで倫理的な商品を買い続けるのは良くないでしょう。
周りの目を気にして良いことをし続けようとした結果、破産してしまった、なんてことになったら元も子もありません。確かに、現在の社会では地球環境や貧困に目を向けようという動きが一般的になっています。そんな中で環境に良くないことをした場合や貧しい人を虐げるような行為をしてしまったらバッシングの的になるでしょう。とはいえ、雰囲気に流されるようでは自分の頭で考えているとは言えません。
そもそもこうした運動が始まったのは、今世界で起きている問題を少しでも考えてみようという理念にもとづいています。大量生産と大量消費を促してくる社会に疑問の目を向けることこそエシカル消費の目的なのでした。一方で、エシカル消費の問題点に対して疑問の目を向けず、盲目的に絶賛するようでは意味がありません。それでは結局、自分の頭で考えていないことになり、大量生産大量消費をモットーにしていた時代と同じことを繰り返していることになります。
みんなやっているからではなく、あくまでも自分のできる範囲で行動を起こすようにしましょう。
倫理的に人生を送ろうとすることはもちろん良いことです。自分のことだけを考えるのではなく、他人のことも考えながら行動することは自分の人生を豊かにします。しかし、あまりに頑固になりすぎて自分の身を滅ぼすことにならないよう、くれぐれも気を付けましょう。
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