学校の宿題で「フェアトレード」がどんなものなのか、誰が喜ぶのかを調べる課題が出ましたか?

実は、お店の商品などでこの言葉を見たことがある人も、どういう意味かはあまりよくわかっていないことが少なくありません。
ここでは、フェアトレードについてわかりやすく解説します。

フェアトレードの「フェア」って?

スポーツを見ていると、「フェアプレイ」という言葉が出てくることがあります。

これは「フェア」なプレイであること、つまり「公正、正当」なプレイであるという意味です。

フェアトレードのフェアもこれと同じで、「公正」な「トレード(貿易)」であることを表します。
世界では毎日たくさんの貿易が行われていますが、その取引が公正に行われているという意味になります。

フェアではないトレードがある?

それでは、フェアトレードではないトレードがあるのでしょうか?

実は残念ながら、世界にはフェアではない貿易がたくさん行われています。
特に、開発途上国と先進国との間の貿易では、フェアではない取引が行われていることが少なくありません。

貿易は取引する両方の国がメリットを得なければならないのに、一方の国だけが豊かになり、もう一方の国はなかなか豊かにならない取引が存在します。

どうしてフェアではないトレードが起こってしまうのか?

国同士の取引は、さまざまな決め事や力のバランスがあって、とても複雑です。

フェアではないトレードが成立してしまう理由もさまざまですが、最も多いのは、一方の国が相手の生産品の価格まで決めてしまうことです。

たとえば、○国と△国という国があり、○国のほうはとても豊かで、△国のほうはあまり豊かではないとしましょう。
○国は△国の農作物を輸入していますが、生産量を増やすために、△国にお金を投資して大規模な農地開発をもちかけます。
これは、△国にとっては助かるようにも見えますが、△国が生産した農作物の価格を全部○国が決めてしまうと、△国はいつまで経っても利益を得られません。

○国は△国から安く大量に農作物を買うのが狙いなので、△国が豊かにならなくても、働く人たちの賃金が上がらなくても、そんなことは関係ないのです。

結果的に○国だけがさらに豊かになり、△国は豊かにならないまま○国のためにずっと農作物を生産し続けることになります。

これがフェアではないトレードが生まれてしまう根本的な理由です。

フェアトレードの歴史

トレードは、お互いがメリットを得て豊かになるのがフェアな形であり、この本来の形を取り戻そうとするのが、今世界で取り組まれているフェアトレードです。

フェアではないトレードが起こってしまった歴史は、16世紀にまでさかのぼります。
ヨーロッパ諸国が各地に植民地を作り、現地の人たちを労働者として安く働かせ、タバコやコットン、サトウキビなどの農作物を作らせました。

こうした典型的な植民地支配がなくなった現在も、あまり豊かではない開発途上国は、半分植民地のような状況から抜け出せていません。

独立した国とは言っても、実際には強い国に一方的に不利な貿易を強いられて、とても不公平な状態が続いてしまっています。

世界でフェアトレードへの取り組みが始まったのは1950年頃で、こうした開発途上国が生産した製品を、公正な価格で輸入することで支援しようという動きが始まりました。

フェアトレードをすると、現地で働いている人たちは、きちんと働いただけのお金を受け取れるようになります。
そうすれば、不公平な取引をする国から経済的に自立して、少しずつでも国が豊かになる方へ向かうことができるでしょう。

欧米にはフェアトレードショップという専門店もできていて、工芸品や農作物、衣類などの商品が販売されています。

そして何よりも、フェアトレードの大切さを多くの人に発信する活動拠点になっています。

日本でもフェアトレードをサポートしよう

日本では1970年ころからフェアトレードに注目が集まりはじめ、活動する会社や団体も増えました。
現在はスーパーマーケットやメーカーの中にもフェアトレードに取り組むところが登場し、私たち消費者もこの言葉を聞くようになってきています。

1989年にはオランダで「国際フェアトレード連盟」ができて、2003年からは「世界フェアトレード機関(WFTO)」になりました。

どのようなトレードがフェアトレードなのかは国際基準の原則が決められていますが、わかりやすくするための認証ラベルもできていますので、日本にいてもサポートすることができます。

最後に、少し難しいですが、フェアトレードの「10の原則」を覚えておきましょう。

1.生産者に機会を提供する
2.事業の透明性と説明責任
3.公正な取引の実行
4.公正な価格
5.子どもの労働、強制労働の否定
6.差別がないこと、男女平等、女性の地位向上、結社の自由
7.安全で健康的な労働環境
8.生産者のキャパシティ・ビルディングを支援
9.フェアトレードの推進
10.環境への配慮

日本におけるフェアトレードの進展

フェアトレードは、地球上でたくさんの国々や人々が豊かに暮らしていくためにとても大切な考え方であり、取り組みでもあります。

ぜひこの大切さを知って、これからも世界中のたくさんの人たちに情報を発信していってください。

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